よこやま通信 NO.194
医院長の穣です。
夏は持病のアレルギーから解放される数少ない私のせっかくの
癒し期間なので、夏なのに?夏だから?やたら増えているコロナ
も気になりますが、感染対策万全にして、おっかなびっくりでも
出来そうなことを考えたり妄想したりして楽しんでおります。
かぶせが外れて、何回つけてもすぐとれる、この様なケースの
ほとんどで残りの歯質が圧倒的に少ない状態になっています。
実はかぶせものを長持ちさせる為に重要な要素の一つに、
残りの歯の量(残存歯質)があります。
この残存歯質がなければ、かぶせは土台とともに歯根に
突き刺さっている状態で接着させているので、外れやすく
なるのです。
一般的には歯茎の上に歯質が最低でも1.5mm以上残って
いる必要があります。そして、特に上あごでは歯の内側
(舌側)に歯質が残っていることが重要になります。
少ない歯質を増やす為に二つの方法が現在では有効と
考えております。
歯茎を切って出ている歯質を増やす方法
(歯冠長延長術=クラウンレングスニング)
歯を引っ張り出して出ている歯質を増やす方法
(矯正的挺出術=エクストルージョン)
の二種類があります。
今回はエクストルージョンについてご説明いたします。
具体的には、歯を引っ張り上げるためにハンガーフック
の様な装置を歯根側に取り付けます。
そして、それを通常は咬み合せ面方向に引き上げる
為のワイヤーを取り付けて準備完了です。
あとは、ゴムをかけてゴムの力で引っ張り上げます。
エクストルージョンに必要な治療期間
1週間から10日の割合でゴムを交換することを3~5回
程繰り返します。その後、後戻りしないように1ヶ月程
固定しますので引っ張り上げるのに合計2ヶ月程時間が
かかります。ただし、後戻りの心配のないケースでは
1ヶ月で終わることもよくあります。
引っ張り上げた後は、歯肉も一緒について上がってくる
為、歯肉ごと再利用したり後の治療の障害になる場合は
その歯肉を切除する場合もあります。
エクストルージョンのメリット・デメリット
メリットは、歯質が増えることで外れにくい被せ物が出来る
ことです。特に、歯質が少ない歯にセラミックを装着する
場合、少しでも長持ちさせる為に必須の治療になります。
また、虫歯が深すぎて抜歯が必要なケースも
エクストルージョンをすることで抜歯を回避できることも
あります。あと、どうしても保存が不可能な状態で、
インプラントによる人工歯根への交換が必要なケース
では手術前にこのエクストルージョンを実施することで
インプラント手術の条件をより良い条件に変更する事が
できる場合もあります。しかも当院ではこの
エクストルージョンも矯正専門医監修のもとで進める
ことができます。
デメリットがあるとすれば、幸運にも保存できた歯根が
短くなることです。
骨から引っ張り出すので、当然埋まっている歯根が
短くなります。つまり短い歯根の歯には適応できません。
あと健保が適用にならないところでしょうか。
お役に立てそうな患者様には治療計画の一環として
ご相談させていただくケースも増えて参りましたので、
今月号の紙面をお借りしてご紹介させていただきました。
今後とも横山歯科・矯正歯科医院をご愛顧のほど宜しく
お願い致します。
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