よこやま通信 No.189
栄養のおはなし
近年、糖尿病をはじめとする、慢性疾患と口腔の関連や、口腔機能低下症の問題もあり、歯科においても、「栄養」の視点からみた指導や、管理栄養士との連携の必要性が求められています。
歯科治療は、咀嚼機能の改善を目的としていますが、それだけではなく、摂食機能全体の改善、栄養状態の改善にも目を向けなければいけません。歯科も栄養も患者さんがおいしく食べて元気に生活することを支える、という点では共通しています。
お口の中の状態によって、単一食品に偏ったり、咬まないで食べられる食品を選んだりして、食事のバランスが崩れている患者さんも多く、それがまた、お口の中の病気や機能に悪影響を及ぼしていることもあります。
歯科では、「歯を守ることで栄養をしっかりと摂れ、生活機能を維持する」
「栄養を通して生活機能に働きかけ、口腔状態の改善を図る」
また、小児には、これに加えて、「成長」という3つの視点でサポートしていきます。
高齢者の栄養
高齢者は、全身の病気を持っている人が多いです。糖尿病や腎臓病などを有している患者さんには、摂取するカロリーや、タンパク質の量のコントロールなど、病態に合った栄養管理が必要となる場合があります。高齢者にとって必要な食事は、「老化現象以上に身体の機能を落とさないような食事」です。
大事なのは、タンパク質とエネルギーをしっかり摂取することです。高齢になると、活動量の低下や病気、治療の影響など、加齢による様々な要因が重なり、食欲不振が起きることがあります。
感覚機能の低下により、味覚・嗅覚が低下し、おいしいと感じにくくなったり、健康のための食生活のイメージで、本当はもっと食べたいのに、脂っこいものや、味の濃いものを避けたり、肉より魚がいい、腹八分目がいい、というような思い込みで、食事量が制限されてしまう場合があります。それ以外にも、入歯や咬む力の低下など、お口の中の問題、嚥下障害、認知機能の低下などが、食事量の減少に関係してきます。
低栄養になるとどんな影響があるのか
低栄養と診断されると、多くの代謝機能に異常をきたし、低栄養でない人と比べて、明らかに生命予後が短くなります。また、低栄養によって、感染リスクが高まります。フレイル(身体が加齢によって衰えて虚弱になっている状態)や、サルコぺニア(老化による筋肉量の減少)になりやすくなります。
そうならないためにも、1日3食、タンパク質中心のバランスの良い食事が大事です。
・野菜は毎食2皿以上とる
・1日3食、時間を決めて食べる
・タンパク質のおかずを毎食食べる
・塩分の量に注意する
・ごはんの量を増やす、おやつの時に牛乳を飲む
・油料理を1日1回はとる
などを目標に、食事を見直してみてください。
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